中学生になる前にやっておきたいこと/RS野中/勉強が苦手な子のための学習塾/岐阜・岐南・笠松・ 各務原

 先日、小学生向けに作成した割合の復習問題を、あえて中学生にもやってもらいました。全25問のうち、20問は極めて基礎的な問題で、残り5問も問題の趣旨を理解していれば決して難しいものではありません。小学生が持っている計算ドリルにあるような問題と同程度の難易度、と言えば何となく理解して頂けるでしょうか。にもかかわらず、結果だけで言えば惨憺たるものでした。でも、これは決して僕が見ている中学生に限った話ではないので、そのことは彼らの名誉のためにも書いておかねばなりません。

 

 少し前、%をわからない大学生といった記事が出ていましたが、体感ではありますけれども、中学生で割合の概念を理解していない子は半数以上いるのではないか?と思っています。あまりこういう尺度は使いたくないのですが、数学の偏差値が50未満、偏差値が出ない場合で言えば中学校の定期試験で平均点未満の中学生はまずわかっていない、と言っても決して言い過ぎではないと思います。しかし、これでもかなり控えめに言っているので、実際にはもう少し上の偏差値帯の子でも理解が不十分だということは少なくないでしょう。中学生の中には、「小学生の時に習ったことだから忘れた」と言う子もいますが、忘れたのではなくて、習っている時点でよくわかっていなかった、と理解するのが適切ではないかと思います。

 

 これは多くの塾の先生方も指摘されていることではありますが、「小学校のカラーのテストで80点以上だったから理解しているだろう」と見るのは危険な考え方です。むしろ、80点でも理解が不十分、それ未満になってくると理解できていない、とするくらいが妥当です。このことを多くの保護者は認識されていないようで、「まだ◯年生だから大丈夫」と思っていると、浅い傷がどんどんと深くなっていきます。そして、気付いた時には深刻なダメージとなっていた、というケースを毎年のように見ています。それがまだ小学生の段階であれば修正していくこともそれ程困難ではありませんが、中学生になってから、もっと言えば中学2年生の後半よりも後になってからでは修正していくことが極めて困難になります。病気でも早期発見、早期治療が望ましいのと同じように、勉強の面でも早期の対応が重要であることは言うまでもありません。

 

 ところで、僕は普段から幼児も見ているので(このことはこちらも参照してください)、幼児の段階でも既に興味関心などの度合いには個々人で大きな差があることを認識しています。そこで、深刻なダメージを負ってしまってから出会った中学生を見てきた経験も踏まえ、発達の段階に合わせた中学生になる前に特にやっておきたいことを列挙してみたいと思います。抜けていることがあるかもしれませんが、その点はご容赦ください。

 

幼児、小学生共通

①大人とたくさん話すこと。その時、大人は簡単な言葉ばかりではなく、少し難しい言葉も織り交ぜること。

②本を読む時はできるだけ音読すること。わからない文字を読み飛ばさないこと。

③自然と触れる機会を作ること。

 

幼児

①身の回りの物に関心を抱くように大人が仕向けること。

②計算練習ではなく、数遊びを大人がたくさんしてあげること。

 

小学校低学年

①平仮名、カタカナを正確に書く練習をすること。特にカタカナの「シ」と「ツ」、「ソ」と「ン」は明確に書き分けられるようにすること。

②数の合成、分解を具体物を使って学ぶこと。

③繰り上がりのある足し算、繰り下がりのある引き算の計算練習を徹底すること。

④九九を完璧に覚えること。順番に答えを導き出せることをもって「できる」と認識しないこと。

 

小学校中学年

①徐々に習う漢字が増えるため、わからない漢字を増やさないようにすること。又、極力漢字で書く習慣をつけておくこと。

②わからない言葉の意味を国語辞典を使って調べられるようにするため、辞典の使い方を覚えること。

③住んでいる地域に関心を持つようにすること。できれば、この時点で都道府県名と位置を覚えておくのが望ましいので、地図の使い方を覚えておきたいところ。

 

小学校高学年

①割合の概念を理解すること。

②速さと時間、距離の関係を理解すること。

③分数の通分、約分を理解すること。

④単位量あたりの計算の意味を理解すること。

 

こうやって列挙すると多そうに見えますが、実際には習うことの一部に過ぎません。又、特にやっておきたいことだけを挙げましたので、理想を言うならば、もちろん全部できるに越したことはないです。

 

 この中でも特に強調したいのは、小学校低学年の①。上手下手ではなく、平仮名やカタカナの書き分けが不明瞭なまま見過ごしてしまうと、もっと大きな問題に対して鈍感になるように思います。これによって発生するであろう損失は計り知れません。小学生のうちに、できることならば低学年のうちに徹底することが望ましいと思います。